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不正性器出血 case3

23歳 女性 契約社員 風俗業アルバイト

 6ヶ月ほど前から月経時以外にも出血を認めるようになりました。特に性交後に出血があることに気づいていましたがあまり気にならなかったのでそのまま過ごしていました。しかし昨日パートナーからクラミジア尿道炎になったと報告があり自分も感染しているのではと心配になり当院を受診しました。 診察をすると腟内に膿様のおりものが溜まっていました。子宮腟部は出血しやすくなっていました。腟分泌物を採取し、腟内を消毒。抗生物質の膣錠を投与しました。炎症が強いので内服の抗生物も投与し、一週間後に来院するよう説明しました。検査結果はクラミジア陽性でした。追加の内服薬を処方し2週間後に検査をするとクラミジアは陰性になり治癒していました。しかしそれにもかかわらず子宮腟部の炎症が改善していなかったので子宮頸がん検診も受けるよう説明し、子宮頸がん検診を施行しました。細胞診の結果は高度病変疑いであり、さらに詳しい組織検査をすると子宮頚がんとの結果でした。
 本人に子宮頸がんであり手術治療が必要であることを説明し、連携病院にご紹介しました。
 先日子宮の一部を切除する円錐切除を受け、幸い初期であったため子宮を温存することができたと紹介先の病院から結果報告をいただきました。

ポイント:子宮頸がんはヒトパピローマウイルスが原因であり性交によって感染します。性交経験がある場合はHPVに感染する可能性があります。本症例の患者さんはHPV感染のリスクが高いにもかかわらず今まで子宮頸がん検診を受けたことはありませんでした。子宮頸がん検診は性交経験がある場合は必ず1年に1回受けるようにしましょう。

# by chikakinu | 2020-10-02 05:00  

妊娠中の出血

26歳 女性 会社員

 結婚して半年。第一子を妊娠しました。分娩先と当院の連携も円滑に進み、順調に妊娠は経過していました。つわりも落ち着きいわゆる安定期に入ったと思い以前から計画していた2泊3日の関西旅行へ夫と行きました。久しぶりの旅行を楽しんでいましたが三日目の朝起きてみるとシーツまで汚れるほどの出血があり、びっくりして宿泊先の近くの救急病院を受診しました。
 超音波検査にて胎児の無事は確認できましたが絨毛膜下血腫との診断でした。血腫が大きく出血も持続しているのですぐに入院が必要との診断でした。夫は仕事のため帰仙しなければならず、本人のみ一人きりで入院することになりました。5日ほど入院すると出血も止まり、血腫の縮小もみられました。主治医からは遠距離の移動になるためもうしばらくの入院するように言われましたが、見知らぬ土地での一人きりの入院は心細くなんとか入院一週間で退院の許可をもらいました。安静の指示のもと夫に迎えに来てもらい仙台へ帰ってきました。
 その後入院中の経過が記載してある診療情報提供書を持参し、当院を受診なさいました。

ポイント:絨毛膜下血腫とは胎嚢と子宮筋層の間に見られる血液の溜まりを言います。血管の損傷により血腫ができ、部分的に絨毛膜が剥離していると推測されています。流産には胎児側に原因がある場合と母体側に原因がある場合がありますが、絨毛膜下血腫は母体側の原因の一つとされています。妊娠は、分娩するまで安定期はありません。また妊娠中はもちろん、分娩中も分娩後もいつでも急変する可能性があります。

# by chikakinu | 2020-09-01 05:00  

過多月経 重症貧血

38歳 女性 自営業

 1年ほど前から月経量がとても多くなっていました。夜用ナプキンを使用しても1時間も持たず困っていましたが産婦人科を受診することが恥ずかしくそのままにしていました。しかし今月の月経が昨日から始まるといつもよりもずっと出血が多く、今朝になると大人の握りこぶし大の血の塊が出て驚いて当院を受診しました。
 当院にタクシーで来院するも院内に入った時には歩くのもままならない状態でした。診察をすると膣内に子宮筋腫が子宮口からぶら下がっているのが確認できました。筋腫分娩でした。顔色は貧血様顔貌で血液検査をすると血色素が4.7g/dlと重症貧血でした。気分不快もあり血圧も低く、頻脈で出血性ショックの状態でした。直ちに連携病院に連絡をとり救急搬送となりました。
 搬送先の病院で輸血をし、子宮筋腫を切除し術後経過は順調で無事に退院になったと紹介先の病院から後日報告をいただきました。

ポイント:子宮筋腫は筋腫ができた場所によって症状が異なります。この症例では子宮粘膜下筋腫であったために経血量が次第に多くなりました。粘膜下筋腫は人間ドックなどで貧血を指摘され産婦人科受診を勧められて見つかることも多いのですが、この女性は自営業であったため健康診断を受ける機会がなく自分が貧血になっていることに気づけませんでした。1年に1回健康診断をうけることは大切です。

# by chikakinu | 2020-08-01 05:00  

月経痛

41歳 女性 大学研究員 未婚 未出産

 25歳頃から月経痛がひどくなってきました。最初のうちは鎮痛剤を内服すれば仕事ができていましたが、そのうち月経が始まると痛みのため仕事を休みがちになりました。それでも月経時だけ休みを1日から2日とれば仕事も継続できていました。しかしそのうち月経時は冷や汗が出て歩くこともできないほど痛みが強くなり、また月経以外の時にも下腹部が痛むようになりました。心配した姉に付き添われ3年前に当院を受診しました。
 内診すると子宮と両側卵巣の可動性が不良で癒着が疑われました。超音波検査を行うと子宮腺筋症と両側卵巣に子宮内膜症性のう胞(チョコレートのう腫)を認め、子宮への卵巣の癒着も強く疑われました。手術治療を強く拒否したため、まずは偽閉経療法を行いその後黄体ホルモンによる治療を開始しました。しかし、不正出血と疼痛の再発があり、再び偽閉経療法を開始しました。治療を工夫しながら1年半ほど外来に通院していましたが両側卵巣の子宮内膜症性のう胞(チョコレートのう腫)が次第に増大してきたため手術治療が望ましいいことを説明しようやく手術に同意なさいました。そして総合病院へ紹介し手術治療を行いましたが癒着がひどく内膜症の病変を全部切除することはできませんでした。術後は黄体ホルモン療法を再開しながら経過観察を行っていましたが再度疼痛症状が増強してきました。前回手術した病院へ再紹介としたところ厳しい癒着があるため子宮+両側卵巣切除術が望ましいとの説明でしたが、本人が手術を拒否したため外来治療を継続していました。しかし、日に日に痛みが耐え難くなり本人から子宮+両側卵巣を切除する根治術を受けたいと申し出がありました。
 昨年末、子宮および両側付属器の摘出術を行い現在は当院でホルモン補充療法を行っています。

 ポイント:子宮内膜症は進行する病気です。進行する前になるべく早い時期に治療を開始し進行を防ぐことが大切です。

 追記:内膜症に悩まされていたころの彼女はいつも眉間にしわを寄せていて静かに苦痛に耐えていましたが、今は見違えるほど朗らかになりよく笑う女性になりました。このたび良い人とご縁があり秋にご結婚なさると昨日の外来で報告をがありました。

# by chikakinu | 2020-07-01 05:00  

続発性無月経 case3

16歳 女性 高校生

 陸上部に所属する高校2年生。代表選手になりたくて高校1年生の時から早朝、放課後に熱心に練習に励んできました。半年で体重が55kgから47kgに減少しました。月経が半年前から来なくなりましたが練習と勉強で忙しくそのまま様子を見ていました。しかしこの度受診時間がとれたので、心配した母親とともに当院を受診しました。
 身長は165cm。やせの原因と考えられる器質的疾患は認められませんでした。検査の結果は単純体重減少性無月経でした。この状態が長く続くと長期にわたる低エストロゲンが原因で骨の形成に悪影響がでてきます。疲労骨折を繰り返すなど競技だけではなく将来への影響も深刻になります。このことを説明すると本人も痩せすぎの自覚があり、なんとかしたいという意識もあることがわかりました。そこで運動内容と食事を見直し体重の正常化を目標に通院しながら経過をみることとになりました。

ポイント:case.2の神経性食思不振症と異なり単純体重減少性無月経の場合には本人に痩せすぎの自覚があります。そのため治療に協力的であり多くは順調に体重が正常化していき、体重増加とともに月経も戻ってきます。軽量化して運動記録を伸ばしても体を壊しては長く競技を続けることはできないことを女性アスリートと指導者、保護者は良く知る必要があります。

# by chikakinu | 2020-06-01 05:00