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無症状

23歳 女性 教員

 関東の大学を卒業し就職のためこの春仙台へ転居してきました。仕事が忙しくまだ当分妊娠の希望は無かったので大学時代からネットで購入したピルを内服していました。ネットでのピルの購入は気楽で簡単でしたが同僚から産婦人科を受診してちゃんと診察を受けてから処方してもらった方が良いと言われ急に心配になり当院を受診しました。

 ピルの希望位以外何も症状は無いとのことで本人は診察されるのが面倒な様子でしたが、ピルを内服するにあたり子宮や卵巣に異常が無いか確認する必要があることを説明し超音波検査を行いました。すると右卵巣におよそ9.5cmの卵巣腫瘍を確認しました。超音波所見からは皮様嚢腫(成熟奇形腫)と考えられました。腫瘍マーカーの採血検査を行い、MRI検査を行ったところやはり皮様嚢腫(成熟奇形腫)の可能性が高いと考えられました。そこでご本人に説明し、その場合縮小することは無いので手術が必要であるとお話し連携病院に手術治療のためご紹介しました。

 昨日連携病院から治療経過についての報告書が届き、腫瘍の核出術を行い卵巣は温存できたこと、病理組織の結果は成熟奇形腫であったこと、術後経過は順調で退院したことが記載されていました。


ポイント:以前にもコラムで「卵巣腫瘍はよほど大きくならない限りほとんど無症状です。」と書きましたがこのように何かの受診ついでに見つかることが多いのも卵巣の病気の特徴です。この方もネットでの薬の購入を続けていればまだまだ卵まだ卵巣腫瘍に気づかないまま過ごし、あまりに大きくなれば卵巣温存も困難であったことでしょう。


# by chikakinu | 2021-07-01 05:00  

早発閉経

31歳 会社員 既婚

 結婚前までピルを内服していましたが、結婚したためピルを中止。その後東京から仙台へ転居。ピルを中止後2回ほど月経が自然に来ましたがその後月経が4ヶ月ほど来なかったので心配になり当院を受診なさいました。

 超音波をすると子宮は萎縮して小さくなっていました。ホルモン検査をすると閉経女性に近いホルモン状態でした。

 そこでエストロゲンとプロゲステロンを周期的に投与する方法を開始しました。4周期目の投与のあと出血がおこらないと受診時に本人から相談がありました。検査を行ったところ妊娠が成立していました。その後の妊娠経過は順調であり来月出産のため里帰りをする予定です。


ポイント:この方は早めに受診なさったので排卵がおこりましたが、このまま経過すると閉経つまり早発閉経になります。早発閉経の原因は不明なことがほとんどです。閉経は不可逆的な卵巣機能の停止です。月経不順に気づいたら早めに産婦人科を受診することが肝要です。


# by chikakinu | 2021-06-01 05:00  

里帰り分娩 case.1

 39歳 会社員 喫煙+

 結婚後3年経過するも妊娠せず当院を受診なさいました。不妊症スクリーニング後に治療を開始。喫煙している場合は妊娠率が低下することを話し、禁煙成功後に人工授精によって妊娠が成立しました。

 妊婦健診は当院で行い、分娩は妊婦さんの希望もあり九州方面で里帰り分娩の予定としました。胎児は順調に発育し妊娠経過にはほとんど問題はありませんでしたが、妊娠20週の健診で胎盤の位置が低いことが気になりました。妊娠26週になっても胎盤の上昇がみられず前置胎盤の疑いが濃厚になったため妊婦さんに早めに里帰りするか仙台での分娩に切り替える必要であること、分娩も緊急時に対応できる産科医、麻酔科医がいる病院で行うように説明しました。しかし、「なるべく分娩ギリギリまで仙台にいたいし、分娩も自分が生まれた九州の産院でしたい。飛行機のチケットをもう買ってしまったのでキャンセルできない。」などと同意を得られないまま妊娠28週の健診に来院しました。この日の超音波検査で前置胎盤のまま経過することはほぼ間違いありませんでしたので再度
・この前置胎盤の状態は帝王切開による分娩となること
・ 前置胎盤は妊娠中、手術中いずれも大量出血がおこりやすく母児ともに命に 危険がおよぶことがあること
・ 早期から入院管理が必要になることもありまた安全に帝王切開をするために 自己血輸血の準備が必要となること
・ 今回の妊娠は禁煙をがんばり努力して人工授精で妊娠することができたこと
・ 年齢から考えて妊娠できるのはこれが最後かもしれず何が大切かよく考え なければいけないこと
を説明したところようやく早期帰省に同意してもらうことができました。その日のうちに九州の総合病院あての紹介状をお渡しし、急ぎ次の日の飛行機で帰省しその翌日総合病院を受診することができました。その後九州の主治医から経過報告が届き、帰省後は外来経過観察としていたが現在は入院管理となり輸血にそなえ自己血の保存を行なっているとのことでした。

ポイント:前置胎盤の原因は不明ですが、子宮の手術歴(帝王切開術、流産術、子宮筋腫核出術など)のある方や高齢妊娠、喫煙習慣のある方に多いとされています。前置胎盤は母児ともに命の危険にさらされることがあります。赤ちゃんとご自分の命を守るための行動が重要です。

# by chikakinu | 2021-05-01 12:52  

増強する下腹部の痛み

31歳 女性 薬剤師 朝食後に下腹部に差し込むようないたみを感じました。今朝は寒かったのでお腹が冷えたせいで痛むのかと思いお腹をあたためて静かにしていました。しかし次第に堪え難い痛みになってきたので、テレワークで家にいた夫に連れられてと当院を受診しました。 来院時、痛みのため体を丸め、歩くのもやっとの状態でした。腹部を診察すると腹腔内に何らかの炎症を起こしている時におきる筋性防御がみられました。経腟超音波を施行すると子宮のまわりに出血が溜まっていました。妊娠反応は陰性で子宮外妊娠破裂は除外されました。当院受診はその日が初めてだったので、以前に他の産婦人科で何か病気を指摘されたことはなかったかどうかたずねました。すると2年前に両側卵巣に大きな子宮内膜症性卵巣のう腫があると言われたとのことでした。しかし本日の超音波では両側卵巣ともに卵巣のう腫はありませんでした。以上のことから卵巣嚢腫破裂を強く疑いました。疼痛がひどく腹腔内に出血もあるため連携病院に救急車で搬送しました。 先日、紹介先の病院から経過報告をいただきました。やはり子宮内膜症性卵巣のう腫の破裂であったとのお返事でした。ポイント:先月のコラムで「卵巣腫瘍はよほど大きくならない限りほとんど無症状です。」と書きましたが、ねじれたり、このように破けたりした痛みで見つかることもあります。急な痛みで見つかった卵巣のう腫は緊急手術の対象となることも少なくありません。卵巣のう腫を指摘された場合は定期的に通院し、大きさの変化や悪性化していないかなどを確認しましょう。

# by chikakinu | 2021-04-01 05:00  

無症状 卵巣腫瘍

36歳 女性 医師

 今まで仕事が忙しく4年前に第二子を出産後は産婦人科を受診することはありませんでした。夫と他県の病院で働いていましたが、このたび仙台に転勤になりました。久しぶりに子宮がん検診を受けようと、医学生の臨床実習の時に院長と患者さんを受け持ったことを思い出し、当院を受診なさいました。
 子宮がん検診の前に経膣超音波を施行すると左卵巣が7cm程に腫大していました。超音波上は腫瘍内に、脂肪、毛髪、歯などが詰まっている皮様嚢腫が疑われました。ご本人に伝えると何も症状が無かったとのことで大層驚いていました。良性の皮様嚢腫が考えられるけれども比較的大きい腫瘍であるため手術治療を受けた方が良いと説明しました。腫瘍マーカー、MRIを確認し連携病院にご紹介しました。
 先日、手術を終えたご本人が挨拶にお見えになり、やはり良性の皮様嚢腫であったとのことでした。

ポイント:卵巣腫瘍はよほど大きくならない限りほとんど無症状です。良性腫瘍なら大きくなっても手術すれば治りますが、悪性卵巣腫瘍の場合には症状に気づいて受診した時には治療が難しくなっていることもあります。子宮がん検診は子宮だけでなく卵巣の病気が見つかることもある検診です。

# by chikakinu | 2021-03-01 05:00