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無月経

31歳 女性 会社員

 

妊娠を望んでいましたが1年前の流産後なかなか妊娠せずそろそろ産婦人科を受診しなければと考えていました。ところが今月の月経が遅れているため市販の妊娠反応を調べたところ陽性でした。そこで産婦人科を受診することにしました。

 当院受診時超音波にて子宮内に胎嚢は確認できませんでした。尿による妊娠反応はまだ弱くなんとかうっすらと確認できる程度でした。そこで1週間後に受診するようお話ししました。ところが1週間後の約束の受診時にご本人は来院しませんでした。ご本人に電話連絡しても繋がらず心配していたところようやく約束の日から2週間過ぎて受診なさいました。前日の夜から少量の出血があり心配になったので受診したとのことでした。妊娠反応ははっきりと強くなっていました。超音波検査では子宮内に胎嚢は確認できず、子宮周囲に血液が貯留しており腹腔内への出血が始まっていました。ご本人に異所性妊娠(右卵管妊娠疑い)であり腹腔内への出血も始まっているため緊急手術が必要であると説明しました。高次病院に連絡し緊急搬送となりました。

 搬送先の病院で緊急手術となり手術結果は右卵管妊娠でした。


ポイント:妊娠反応が陽性の場合正常妊娠とは限りません。異所性妊娠や流産など異常妊娠のこともあります。特に異所性妊娠は受診が遅れ卵管破裂がおきると腹腔内への大量出血を起こし出血性ショックによって生命にかかわることもあります。この症例の方ももう少し受診が遅れれば激しい腹痛や出血性ショックでどこかで倒れていたかもしれません。正常妊娠と異常妊娠の診断は難しく丁寧に時間を追って診ていく必要があります。命を守るためには医師から次の受診指示があった場合は指示どおりに受診することが大切です。


by chikakinu | 2024-08-01 00:00 | Trackback  

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