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胎盤の位置

39歳 女性 会社員

 A子さんは子宮内膜症の治療のために低用量のエストロゲン・プロゲステロンによる治療を行っていましたが、1年前にご結婚し妊娠を希望とのことで内服を終了しました。程なく妊娠が成立し今度は妊婦健診のため当院に通院していました。胎児発育も母体の経過も順調でしたが胎盤の付着位置が低いことが気になっていました。妊娠の経過とともに通常は胎盤が子宮口から離れていくのですがAさんは妊娠24週を過ぎても低いままでした。Aさんのご実家は沖縄で、里帰り分娩の予定でした。妊娠26週の妊婦健診時も胎盤は位置が低いままでそれに加えて赤ちゃんが骨盤位(逆子)でした。ご本人に「前置胎盤の疑いに加えて逆子。それに遠方への里帰りのためもう帰省して分娩に備える必要があります。」とお話ししましたが仕事の都合でどうしても帰ることができないと早期帰省に同意を得ることができませんでした。そこで「2週間後の健診も同様であれば帰省してください。」と説明し28週の妊婦健診を当院で行いましたがやはり胎盤の位置も赤ちゃんの位置にも変化がありませんでした。ご本人に①前置胎盤では妊娠中や分娩時に急な大量出血が起こる可能性があり、分娩は帝王切開になること ②骨盤位だけでも分娩は帝王切開になる可能性が高いこと ③高齢出産で今回の妊娠を大事にしないと次の妊娠の可能性は低いこと を説明しなんとか帰省を早めてもらうことができました。

 先週ご紹介先の主治医から、前置胎盤のため高度治療の病院に転院し輸血を準備した上での帝王切開になったが無事に男の子を出産なさったとのお返事をいただきました。


ポイント:胎盤の位置は自分の力ではどうすることもできません。前置胎盤や低置胎盤という診断を受けた場合には里帰りを早める必要がある場合も想定されます。産婦人科医が早期帰省や転院についてお話しするのは赤ちゃんとお母さんの安全のためです。妊婦さんはいつでも主治医の判断に対応できるよう早めの準備をこころがけましょう。


by chikakinu | 2021-11-01 05:00  

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