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里帰り分娩 case.1

 39歳 会社員 喫煙+

 結婚後3年経過するも妊娠せず当院を受診なさいました。不妊症スクリーニング後に治療を開始。喫煙している場合は妊娠率が低下することを話し、禁煙成功後に人工授精によって妊娠が成立しました。

 妊婦健診は当院で行い、分娩は妊婦さんの希望もあり九州方面で里帰り分娩の予定としました。胎児は順調に発育し妊娠経過にはほとんど問題はありませんでしたが、妊娠20週の健診で胎盤の位置が低いことが気になりました。妊娠26週になっても胎盤の上昇がみられず前置胎盤の疑いが濃厚になったため妊婦さんに早めに里帰りするか仙台での分娩に切り替える必要であること、分娩も緊急時に対応できる産科医、麻酔科医がいる病院で行うように説明しました。しかし、「なるべく分娩ギリギリまで仙台にいたいし、分娩も自分が生まれた九州の産院でしたい。飛行機のチケットをもう買ってしまったのでキャンセルできない。」などと同意を得られないまま妊娠28週の健診に来院しました。この日の超音波検査で前置胎盤のまま経過することはほぼ間違いありませんでしたので再度
・この前置胎盤の状態は帝王切開による分娩となること
・ 前置胎盤は妊娠中、手術中いずれも大量出血がおこりやすく母児ともに命に 危険がおよぶことがあること
・ 早期から入院管理が必要になることもありまた安全に帝王切開をするために 自己血輸血の準備が必要となること
・ 今回の妊娠は禁煙をがんばり努力して人工授精で妊娠することができたこと
・ 年齢から考えて妊娠できるのはこれが最後かもしれず何が大切かよく考え なければいけないこと
を説明したところようやく早期帰省に同意してもらうことができました。その日のうちに九州の総合病院あての紹介状をお渡しし、急ぎ次の日の飛行機で帰省しその翌日総合病院を受診することができました。その後九州の主治医から経過報告が届き、帰省後は外来経過観察としていたが現在は入院管理となり輸血にそなえ自己血の保存を行なっているとのことでした。

ポイント:前置胎盤の原因は不明ですが、子宮の手術歴(帝王切開術、流産術、子宮筋腫核出術など)のある方や高齢妊娠、喫煙習慣のある方に多いとされています。前置胎盤は母児ともに命の危険にさらされることがあります。赤ちゃんとご自分の命を守るための行動が重要です。

by chikakinu | 2021-05-01 12:52  

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