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発熱 外陰部痛

 23歳 女性 金曜日の朝、外陰部に違和感を感じました。会社に行き通常通り勤務をしていましたが夕方になると何となく熱っぽくなってきました。風邪をひいたのだと思いましたが会社の新人歓迎会があったので出席しました。土曜日の朝になると熱が高くなり、体もだるく、右足の付け根も腫れてグリグリとしこりが触れるようになりました。近所の内科を受診し、熱などの症状を話し、風邪薬を処方してもらい帰宅しました。日曜日、熱、だるさ、足の付け根の腫れに加わり、外陰部がものすごく痛くなり、尿をしてもしみるように痛み、歩くのさえ苦痛になってきました。しかし日曜日だったので風邪薬を飲みながらがまんしていました。月曜日、痛みに耐えきれなくなり当院を受診なさいました。
 視診にて外陰部に多数の水疱を認め、一部それが潰瘍となっていました。足の付け根のグリグリは鼠径部(そけいぶ)のリンパ節の腫れでした。外陰ヘルペスでした。
 患部の処置をし、抗ウイルス薬の内服剤と軟膏、解熱鎮痛剤を処方しました。5日後の再診でまだ潰瘍が治りきっていなかったため内服薬を追加処方。さらに5日後に受診なさった時にはきれいに治っていました。患者さんには再発の可能性や今後生活するうえでの注意点について説明しました。

 ポイント:外陰ヘルペスの初期症状は風邪と間違えやすい症状です。外陰ヘルペスは主に性交によって感染します。外陰ヘルペスは一度感染すると何度も再発することがあります。水疱が出ている時には感染力がありますので注意が必要です。

# by chikakinu | 2019-07-01 05:00  

下腹部痛

 コラムを利用して病気や医療についてお話ししてきましたが、今月からは具体的に症例を紹介していきます。どの症例も当院を受診なさった患者さんですが、プライバシー保護のため年齢などは少し変更してあります。ご自分に気になる症状がある時に参考になさってください。

 27歳 女性月曜日早朝、通勤中に右の下腹部に痛みを感じました。会社の健康相談室で痛み止めを内服し休んでいたらなんとなく痛みがおさまったように感じ、少しウトウト眠りました。しかし再び痛みが強くなって目が覚めてしまいました。歩くと一歩毎に右のお腹に痛みが響き、虫垂炎かと思って会社近くの内科を受診しました。診察の結果、内科主治医から産婦人科の病気かもしれないので産婦人科の受診するようにと勧められ当院を受診なさいました。当院に到着した頃には下腹部痛が強くなっており真っ直ぐに座るのもつらく体を丸めてうずくまっていました。
 超音波検査で約6cmの右卵巣嚢腫を認め、診察時に右の下腹部に強い痛みがありました。検査より右卵巣嚢腫の茎捻転と診断しました。直ちに連携病院に搬送し緊急の腹腔鏡手術が行われ右卵巣嚢腫を切除しました。卵巣は一回転半捻れていましたが受診、診断、治療が速やかだったので卵巣へのダメージは最小限であり全摘は免れました。
 術後の経過は順調です。卵巣のう腫は皮様のう腫(ひようのうしゅ)という種類でした。きれいに切除されていますが、再発の有無を確認するために現在も当院に定期的に通院なさっています。

 ポイント:卵巣のう腫は今回のように捻れたり、または相当大きくなるまで気づかない腫瘍です。無症状の卵巣の病気については子宮がん検診などで偶然に見つかることがほとんどです。

# by chikakinu | 2019-06-01 00:00  

分娩予定日の決定方法

 令和元年を迎えました。人類の叡智を持って健やかな時代を保つことを願います。
 私たち産婦人科医は元号が決定するまで5月1日以降の分娩予定日をカルテや書類に記入する時には西暦で対応していましたがなんとなくしっくりときませんでした。やはり分娩予定日は和暦がふさわしいようです。今月は分娩予定日についてお話しいたします。

 分娩予定日の決定はその後の胎児発育を評価する時の基準となるため正確に決定されなければなりません。分娩予定日は次の3つから決定します。1.)基礎体温などから受精した日がわかる場合は、その日を基準に分娩予定日を決定2.)超音波検査の赤ちゃんの大きさから分娩予定日を決定3.)月経周期が28〜30日と正確であり最終月経が正確にわかる場合はこれを基準に分娩予定日を決定私たちヒトは機械ではないためどんなに月経周期が順調な女性でも排卵がズレることはしばしばあります。従って通常は上記1.)2.)より分娩予定日を決定します。排卵日は月経日を記録しているだけではわかりません。基礎体温を測定しなければ知ることはできません。基礎体温を測定記録している場合には持参すると正確な予定日決定の助けとなります。

# by chikakinu | 2019-05-01 05:00  

女性の一生の月経回数と疾患

 現代女性の一生の月経回数は昔とは比べものにならないほど増えています。今月は女性の一生の月経回数と疾患についてお話いたします。

 70年前、女性は一生の間におよそ4〜5人出産していました。 妊娠中は月経が止まり、出産後も授乳中もしばらく月経が停止しています。そのため昔の女性の一生の月経回数は50〜80回でした。ところが現在の女性の出産回数は1〜2回なので一生の月経回数は420〜500回と随分と増えています。 子宮内膜症は月経が増悪させる病気です。子宮内膜症は子宮内膜が本来存在している子宮の内側だけではなく違う場所にも発生してしまう病気です。子宮内膜症が発生した場所では月経周期にあわせて病変部分も月経様の変化をくり返し、痛みや不妊症の原因を作っていきます。子宮内膜症は閉経になれば治癒する病気です。つまり月経が無ければ子宮内膜症は改善します。そのため閉経だけではなく妊娠や授乳により、月経が停止ししている間も子宮内膜症は改善します。現代女性の月経回数は昔の女性の8〜10倍となっているため、重症子宮内膜症が増えています。このことが不妊治療を困難にしていることを毎日の診療を通して強く感じます。 最近は閉経になることの負の面ばかり取り上げられているように思いますが月経が増悪させる病気があることも知るべきです。そして初経を迎えたように無事閉経を迎えることのありがたさにも目を向けるべきでしょう。

# by chikakinu | 2019-04-01 05:00  

妊娠中のスギ花粉症について

 今日は春のような暖かさのようです。暖かくなると花粉の飛散量が増えてきます。当院でも花粉症のお薬を必要とする妊婦さんが来院し始めました。今月は妊娠中のスギ花粉症についてお話いたします。

 スギ花粉症はスギ花粉を体が異物として強く認識してしまうことが原因です。花粉が鼻粘膜や眼の結膜につくとヒスタミンという物質がでてくしゃみ、鼻汁、鼻づまり、眼のかゆみ、涙などの症状がでてきます。また、微熱、全身倦怠感、頭痛なども花粉症の症状として現れることがあります。 スギ花粉症はスギ花粉が鼻粘膜や眼の結膜につかなければ症状が出ることは少ないのでマスクや眼鏡の着用は予防法として大事です。帽子やコートを着用して頭髪や体への花粉の付着をできるだけ少なくするのも良いでしょう。また花粉の飛散情報に注意して外出を控えることも必要です。帰宅したらうがい、洗顔をします。しかし花粉は非常に小さいため完全に防ぐのは困難です。 花粉症を重症化しないためには初期の薬物療法が大事です。花粉飛散の数週間前から抗ヒスタミン剤を内服します。ところが抗ヒスタミン剤の添付文書には「妊婦への投与を避けることが望ましい。」と記載されているものがほとんどです。しかし花粉症は妊娠中に重症化することもありそれを我慢するとかえって危険なこともあります。そのため抗ヒスタミン剤の内服は症状によって使用するかどうかを決めることが大切です。内服が心配な場合は点鼻薬や点眼薬などの局所剤による治療を考えます。 妊娠中のスギ花粉症は、まず体に花粉が付着しないように心がけ、それでもアレルギー症状が強くなる時は主治医に相談しましょう。

# by chikakinu | 2019-03-01 05:00