風疹について

 妊娠中に感染すると心配な病気の一つに風疹があります。今月は風疹についてお話いたします。

 妊娠初期の女性が風疹に感染すると。赤ちゃんにも感染して赤ちゃんに影響が出る事があります。主な症状は耳が聞こえにくい、目がみえにくい、心臓に病気がある、発達が遅いなどで、これを先天性症風疹症候群といいます。妊娠中に風疹にかかることがないよう妊娠前に風疹の抗体があるかどうか確かめておきましょう。血液検査で抗体の有無がわかります。かかりつけ医で検査を受け抗体が無い場合は予防接種を受けましょう。風疹の予防接種後2ヶ月は避妊が必要です。また妊娠中は風疹の予防接種を受けることができません。もし妊娠中に妊婦さんに風疹抗体が無い事がわかった場合は妊婦さんを守るために妊婦さんの夫、子ども、同居ご家族そして里帰り先のご家族も風疹抗体が十分にあると確認された方以外は早急に予防接種を受けてください。 昭和54年4月2日〜平成7年4月1日生まれの男女は風疹の予防接種率低く、また昭和54年4月1日以前生まれの男性は子どもの頃に定期接種を受ける機会がありませんでした。この時期に該当する方は風疹に十分気をつけ、抗体が無い場合は予防接種を受けてください。 ゴールデンウィークですが風疹抗体の無いまたは低い妊婦さんは不要不急の外出を控え、人ごみを避けるようにしてください。今、風疹とともに麻疹(はしか)も心配です。二つ良い事はなかなか無いものです。妊娠しながら旅行も楽しむというのは両立しないこともあります。今は授かった大事な赤ちゃんを風疹から守る事を第一に考えましょう。

[PR]

# by chikakinu | 2018-05-01 00:00  

子宮内膜症について

 女性は約40年月経と共に暮らします。充実した毎日を過ごすには月経時も快適であった方が良いと考えます。毎月の月経時の痛みが強い、月経量が多いなどの症状があれば生活の質も低下してしまいます。月経の痛みが強い原因のひとつに子宮内膜症という病気があります。今月は子宮内膜症についてお話いたします。

 子宮内膜症とは子宮内膜が本来存在している子宮の内側だけではなく違う場所にも発生してしまう病気です。子宮内膜症の症状は月経痛、下腹部痛、腰痛、性交痛、排便痛などの疼痛が主な症状となります。発生する場所は卵巣、子宮の筋層、子宮の裏側、腹膜、直腸、肺など様々です。子宮内膜症が発生した場所では月経周期にあわせて病変部分も月経様の変化をくり返します。そのため発生した部位により症状が異なります。子宮の筋層内に子宮内膜が存在すれば月経の痛みがとても強くなります。 子宮の裏側に子宮内膜が存在すると排便痛や性交痛をひきおこすことがあります。内臓をおおっている腹膜に子宮内膜が存在すれば内臓表面で出血し炎症をおこし、臓器どうしがくっついてしまう癒着ができます。癒着するとそれぞれの臓器の動きが悪くなり不妊症、腹痛などの原因となります。癒着は手術でしかはがすことができませんが癒着の程度によっては手術そのものが困難となります。直腸に子宮内膜が発生すれば月経時に下血し、肺に子宮内膜があれば月経時に喀血します。 子宮内膜症の確定診断は腹腔鏡手術による組織検査が必要です。しかし、問診、内診、超音波断層撮影、血液検査、MRI、CTでも臨床的に子宮内膜症の診断をつけることはある程度可能です。 子宮内膜症の治療には薬物療法と手術療法があります。現在のところ薬物療法では子宮内膜症は根治できないことが多く、症状を一時的に緩和し進行を遅らせることが主体となります。手術療法は将来的に妊娠を望むか望まないかによって手術方法が異なってきます。 子宮内膜症は放置しておくと症状が進みます。子宮内膜症が原因の不妊症患者さんの治療には苦慮します。早めに受診して適切な治療を続ければ子宮内膜症が進行するのをある程度防ぐことができます。しかし子宮内膜症と診断を受けた場合は妊娠出産の時期を逃さない様にする注意が必要です。

[PR]

# by chikakinu | 2018-04-01 05:00  

女性アスリートと健康

 冬季オリンピックが終了しました。女性アスリートの力強い活躍を頼もしく感じました。今月は女性アスリートと健康についてお話しします。

 女性アスリートに多い健康問題には1.エネルギー不足 2.視床下部性無月経 3.骨粗鬆症の3つの疾患がありこれらを女性アスリートの三主張と定義しています。この三主張の始まりは食事制限や過剰な練習によるエネルギー不足です。エネルギー不足が長引くと脳からのホルモン分泌が低下し、それによるエストロゲン低下のため無月経になります。エストロゲン低下の状態が長引くと骨密度が低くなり疲労骨折の危険が高まります。リスクを回避するために無月経は放置せずエネルギーバランスに注意を払うことが重要です。
 治療はエネルギー不足を改善することです。すなわち食事を増やすor/and運動量を減らすことです。アメリカスポーツ医学会の治療指針は1.最近減少した体重をもとに戻す2.月経がきていた時の体重に戻す3.成人ではBMI18.5kg/m2以上、思春期では標準体重の90%以上にする4.摂取エネルギー量は最低2000kcl/日とするです。国際オリンピック委員会でも1日300〜600kcal摂取エネルギー量を増やすことを推奨しています。
 また最近の女性アスリートにとっては月経周期をコントロールすることも大切なことです。リオオリンピックに出場したトップ選手の27.4%が継続的な月経周期のコントロールを行っていたことが報告されています。一時的な月経周期の調節は中量用ピルを、継続的な月経周期の調節は低容量ピルを用いて行います。本番で最高のパフォーマンスを行うためには自分が月経周期のどの時期に一番力を発揮できるのかを客観的に知らなければなりません。かかりつけの産婦人科医に月経周期の調節を相談すること良いでしょう。
                   日本産科婦人科学会雑誌69巻10号 より

[PR]

# by chikakinu | 2018-03-01 05:00  

子どもの食物アレルギーの予防と妊娠中の食事について

 子どものアレルギー予防のために妊娠中は食事制限をした方が良いかどうか妊婦さんからご質問を受けることがあります。今月は子どものアレルギーの予防のための妊娠中の食事についてお話しいたします。

 多くの方はピーナッツなどの食物アレルギーは口からその食べ物を食べることが原因となっておきると思っていることでしょう。しかし食物アレルギーは皮膚炎によりバリア機能が壊れ透過性の更新した皮膚から食物が体内に入りアレルギー反応が起きることがわかってきました。その一方、口から摂取した食べ物は拒絶反応をおこさないような働きをすることもわかってきました。これらのことからアレルギーをおこしやすい食物を子どもに与えないでいると余計に食物アレルギーの発症リスクを高めるのではないかと考えられています。 それではアレルギーの家族歴のある妊婦さんは妊娠中の食事をどのようにすれば良いのでしょう。食物除去は母体と児に対して有害な栄養障害を引き起こす恐れがあるため、食物アレルギー診療ガイドラインでは食物アレルギーの発症予防のために妊娠中の母体の食物除去を行うことを推奨してはいません。また児の腸内細菌の形成がアレルギー予防に重要であることもわかってきました。母体の腸内細菌が児に引き継がれて形成されますので、母体は便通を整えることが大事であると言えます。以上のことから妊娠中には食物除去は行わず腸内細菌を整えることを念頭においたバランスの良い食事を摂るように心がけましょう。

[PR]

# by chikakinu | 2018-02-01 05:00  

ためになる診療

 あけましておめでとうございます。
今年もより良い年でありますようお祈りいたします。
 年の初めである今月は私がいつも考えている患者さんの「ためになる診療」についてお話します。

 松下電器産業、現在のパナソニックを一代で築きあげた松下幸之助氏は沢山の格言を残しています。私が好きな松下語録の一つは「客の好むものを売るな、客のためになるものを売れ。」です。医療に言い換えれば「患者さんの好む診療をするな、患者さんのためになる診療を行え。」となるでしょう。
 数年前、不妊症のスクリーニング検査を行った20代の患者さんに、肥満を認めたためまず体重を減少させる必要があることを説明した時のことです。その患者さんは、「自分は不妊症で悩んで来たのに不妊症の治療をしないなんて不誠実だ。」と立腹し帰って行きました。そして後日ご主人を伴い納得いかないと再度受診されました。そこで肥満では次のようなことがあることを改めて説明しました。第一に排卵が不順になりやすいため妊娠が成立しにくいこと。第二に治療により妊娠が成立しても流産しやすく、また妊娠がたとえ継続したとしても妊娠高血圧などが起こる確率が高く母体も胎児も危険になること。第三に救命するために緊急帝王切開を行っても麻酔も手術も危険なことをお話しました。そしてまだ20代なのでここ一年で体重を減らしその後本格的な不妊治療を開始した方が今後のためにも良いと説明しました。ご本人は不満そうでしたがご主人は私の説明を理解し目標体重まで減らしたら再度受診させますとおっしゃってお帰りになりました。そして約束どおり約1年後に減量して受診し不妊症治療を行い現在は二人のお子様のお母さんとなりました。今でも時々受診なさりかわいいお子様方の写真をみせてくださいます。
 患者さんの「好む診療」をする方が、患者さんも喜び、医師も患者さんに納得いただくための時間のかかる説明をする苦労も無く楽で簡単です。その上、「ためにならない診療」でも患者さんが好んで通院してくれる訳ですから医療経営的にも良いのでしょう。でもそれでは全く患者さんのためになりません。私は医師は医療に誠を尽くすべきと考えます。松下氏の言葉に学び、これからも当院は患者さんが「好む診療」ではなく患者さんの「ためになる診療」を心がけていきたいと思います。

[PR]

# by chikakinu | 2018-01-01 05:00