妊娠中の食事による感染について

 妊娠中は食事による感染に注意しなければなりません。今月は妊娠中に注意が必要な食べ物についてお話しいたします。

 妊婦さんが気をつけなければいけない食物を介した感染症ひとつはトキソプラズマ症です。妊婦さんが感染すると赤ちゃんにも感染し赤ちゃんの脳や眼に影響がでる可能性があります。トキソプラズマ症はトキソプラズマという原虫に感染したネコの糞などが原因であることは良く知られていますが食物からも感染します。生肉や良く火が通っていない肉は生きたトキソプラズマが付着している可能性があります。レアステーキ、生ハム、ローストビーフ、加熱の不十分なジビエ料理、加熱が不十分な肉のパテ、生サラミ、ユッケ、馬刺し、鳥刺しなどの食品に注意が必要です。(厚生労働省HP参照)
 それからもう一つ注意すべき感染症はリステリア菌による食中毒です。リステリア菌も妊婦さんが感染すると赤ちゃんへも感染する可能性があります。リステリア菌は塩分にも強く冷蔵庫でも増殖します。加熱殺菌していないチーズ、肉や魚のパテ、生ハム、スモークサーモン、生サラダなどから感染する可能性があります。(厚生労働省HP参照)
 現代は様々な食品が手に入りやすい時代ですが、妊娠中は注意して食事を選ぶ必要があります。また普段調理をするときも生野菜と肉のまな板はそれぞれ別なものを用意して使い分けるようにしてください。生肉などに触れたトング、取り箸の取り扱いにも注意が必要です。

# by chikakinu | 2019-02-01 05:00  

あけましておめでとうございます。

 あけましておめでとうございます。
今年も健康に恵まれた良い年になりますようお祈りいたします。

 健康に過ごすためには概日リズムに合わせた生活をすることです。
年の初めは健康で過ごすために大切な概日リズムについてお話しいたします。

 生命は海の中で誕生し長い年月をかけて原始生物から多細胞生物、魚類、爬虫類、恐竜が出現し、そして鳥類、哺乳類、人類と進化してきました。気の遠くなるような時間をかけて私たち人間は約24時間で変動する概日(がいじつ)リズム(生物時計や体内時計と同じ意味)という生理現象を獲得してきました。私たちが朝になると目が覚めて、昼間活動し、夜眠るというリズムは体を構築している遺伝子によって決められているのです。この概日リズムをコントロールしているのが時計遺伝子です。この同調(リズムの補正)は朝に行われます。同調するスイッチは「光」と「摂食による消化管の動き」の2つです。体がリズムよく働くようにするには朝の光を浴びることと朝ごはんを食べて腸を動かすことが必要です。この同調では1日に最大2時間しか補正することができません。このことは海外旅行をした時の時差ぼけを考えるとわかりやすいと思います。8時間の時差で旅行した時には体がもとの状態になるには約4日かかります。この時計遺伝子に逆らった生活は、がんの発症率を高くし、やる気のでるホルモンや眠くなるホルモンの分泌不全がおこり、がん、うつ病、不眠などの病気を自分で作ってしまうことになります。休日に昼まで寝ている、毎日朝ごはんを摂らずに出勤ギリギリまで寝ているという生活は体の不調を招きます。原因となる病気が無いのに、なんとなくだるい、やる気がでない、疲れるなどの症状を治す魔法の薬はありません。どんなに疲れていても、夜遅くまで起きても毎朝決まった時間に起きて朝食をしっかり摂るようにすると体調が良くなります。時計遺伝子が決定している概日リズムに合わせた生活が健康を作るのです。  

# by chikakinu | 2019-01-01 05:00  

安定期について

 長期休暇の時期になると妊婦健診時に「もう安定期なので遠出してよいですか?」というご質問をよくいただきます。年末年始を利用して帰省や旅行を考えている妊婦さんもおられることでしょう。今月は安定期についてお話しします。

  「安定期についてお話しします。」と書きましたが、妊娠中に安定期はありません。一般的に妊娠16週頃が安定期と言われているようですが医学的には分娩が無事終了するまで安定期は存在しないのです。なぜなら妊娠中はどの時期にも腹痛、出血、感染などが突然おきるからです。また妊娠すると女性ホルモンは次第に増加し、特にエストリオールというホルモンは非妊娠時の1000倍にもなります。晩婚化が進んでいる現代は妊婦さんの年齢も高齢化していますのでこのような体の変化への適応が困難になります。高齢の妊婦さんは妊娠高血圧なども発症しやすくなり、より母体と赤ちゃんの危険度が高くなります。妊娠中はどの時期も大事に過ごさなければなりません。妊娠中は自分が帰省するのではなく、ご家族にいらしていただくなど工夫して分娩まで丁寧な毎日を過ごしましょう。

# by chikakinu | 2018-12-01 05:00  

妊娠とインフルエンザ予防

 紅葉の季節はインフルエンザの予防接種の時期です。今月は妊娠とインフルエンザ予防についてお話します。

 インフルエンザは冬に流行する感染症です。主な症状は38度以上の高熱、関節痛、頭痛、筋肉痛などです。妊婦はインフルエンザ感染が重症化し易く、妊婦の高熱は時に児の心血管系の先天奇形の原因となるという研究報告もあります。妊婦はインフルエンザに罹患しないようにすることが大切です。インフルエンザに罹患しないために最も効果的なことはインフルエンザワクチンを接種することです。現在使用されているインフルエンザワクチンは不活化ワクチンであるため全妊娠周期を通じて妊婦、胎児双方に理論的に問題は無いと言われています。インフルエンザワクチンには防腐剤としてエチル水銀を含む製剤とエチル水銀を含有していないものがあります。エチル水銀の濃度は極少量であり胎児への影響は無いとされていますが、緊急時(インフルエンザが猛威を振るっていて一刻も早い接種が必要など)以外はエチル水銀の含まれていないインフルエンザワクチンを接種したほうが望ましいと考えます。当院ではエチル水銀の入っていない製剤を使用しています。インフルエンザワクチンの接種後効果がでるまでには2〜3週間かかります。11月中に妊婦さんと妊婦さんの夫、お子さん、お里帰り先のご家族皆さんでインフルエンザワクチンの接種を受けてください。

# by chikakinu | 2018-11-01 05:00