卵管通過性検査について

 自然妊娠をするためには卵管の通過性が保たれていることも必要な条件の一つです。そのため不妊症のスクリーニング検査のひとつに卵管通過性検査があります。今月は当院で行っている卵管通過性検査についてお話いたします。

 

 卵と精子が出会い、受精が行われる場所は卵管です。卵管通過性検査は子宮口から細いカテーテルを入れて薬剤を注入して検査をします。卵管通過性検査を行うと卵管の通りが良くなるので検査でもありますが不妊症の治療の一つとも言えます。卵管通過性検査は月経周期のおよそ8日目から12日目までの間に行います。検査は撮影法によって大きく分けて次の2通りの方法があります。

造影法

フェムビュー

ヨード系造影剤

アレルギー

なし

あり

撮影方法

超音波

X

X線被曝

なし

あり

必要検査日数

1

2

評価方法

視診

視診

刺激性(痛み)

無し

やや有り

保険適応

適応外

適応有

 当院ではフェムビューによる超音波下卵管撮影を行っております。フェムビューは日本初の超音波子宮卵管撮影用の医療機器です。フェムビューによる撮影は、アレルギー反応がほとんど無く、また薬剤に刺激性が無いために痛みがありません。何より超音波下で卵管撮影を行う最大の利点は、若い女性の卵巣を全く放射線被爆させることが無く検査を行えることです。そのため超音波下の卵管撮影は妊娠可能年齢の女性の卵管をスクリーニングする際に第一に選択すべき方法でありレントゲン撮影による卵管造影に代わる最も効果的方法であるという指針は納得のいくものであると思います。フェムビューは保険適応外の検査です。

 フェムビュー卵管撮影後の自然妊娠も良くみられるため、保険適応外の検査のためやや高額ではありますがフェムビュー卵管撮影は良い検査法であると思います。被爆も痛みも無いこの優れた検査法により今後も妊娠症例を増やし続けたいと願っています。


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# by chikakinu | 2018-07-01 00:00  

不妊症について

 先日、以前当院に通院なさっていた患者さんが転居をすることになり挨拶にみえました。その方は当院で不妊治療を受け、そのおかげでお子様を授かることができたと御礼にみえたのです。お引越しでお忙しい中ご丁寧に挨拶にみえたことが有り難くて特別な一日となりました。今月は不妊症についてお話いたします。

  不妊症とはどの様な状態を言うのでしょうか。日本産科婦人科学会では「生殖年齢の男女が妊娠を希望し、ある一定期間、避妊することなく通常の性交を継続的に行っているにもかかわらず、妊娠の成立をみない場合」を不妊症と定義しています。その一定期間については「1年」というのが一般的ですが、「なお、妊娠のために医学的介入が必要な場合は期間を問わない」となっています。少し前までは不妊期間は2年と定義されていました。しかし日本における女性の晩婚化やキャリア形成指向などにより女性の妊娠する年齢が上昇する中、不妊の定義は変更されました。 不妊症には複数の原因が存在することも少なくないため、まずスクリーニング検査を行います。不妊症かも知れないと考えている場合には早めに受診してください。不妊期間の定義が改められたことが、女性がより早期に適切な不妊治療を受けることにつながることを願います。

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# by chikakinu | 2018-06-01 05:00  

風疹について

 妊娠中に感染すると心配な病気の一つに風疹があります。今月は風疹についてお話いたします。

 妊娠初期の女性が風疹に感染すると。赤ちゃんにも感染して赤ちゃんに影響が出る事があります。主な症状は耳が聞こえにくい、目がみえにくい、心臓に病気がある、発達が遅いなどで、これを先天性症風疹症候群といいます。妊娠中に風疹にかかることがないよう妊娠前に風疹の抗体があるかどうか確かめておきましょう。血液検査で抗体の有無がわかります。かかりつけ医で検査を受け抗体が無い場合は予防接種を受けましょう。風疹の予防接種後2ヶ月は避妊が必要です。また妊娠中は風疹の予防接種を受けることができません。もし妊娠中に妊婦さんに風疹抗体が無い事がわかった場合は妊婦さんを守るために妊婦さんの夫、子ども、同居ご家族そして里帰り先のご家族も風疹抗体が十分にあると確認された方以外は早急に予防接種を受けてください。 昭和54年4月2日〜平成7年4月1日生まれの男女は風疹の予防接種率低く、また昭和54年4月1日以前生まれの男性は子どもの頃に定期接種を受ける機会がありませんでした。この時期に該当する方は風疹に十分気をつけ、抗体が無い場合は予防接種を受けてください。 ゴールデンウィークですが風疹抗体の無いまたは低い妊婦さんは不要不急の外出を控え、人ごみを避けるようにしてください。今、風疹とともに麻疹(はしか)も心配です。二つ良い事はなかなか無いものです。妊娠しながら旅行も楽しむというのは両立しないこともあります。今は授かった大事な赤ちゃんを風疹から守る事を第一に考えましょう。

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# by chikakinu | 2018-05-01 00:00  

子宮内膜症について

 女性は約40年月経と共に暮らします。充実した毎日を過ごすには月経時も快適であった方が良いと考えます。毎月の月経時の痛みが強い、月経量が多いなどの症状があれば生活の質も低下してしまいます。月経の痛みが強い原因のひとつに子宮内膜症という病気があります。今月は子宮内膜症についてお話いたします。

 子宮内膜症とは子宮内膜が本来存在している子宮の内側だけではなく違う場所にも発生してしまう病気です。子宮内膜症の症状は月経痛、下腹部痛、腰痛、性交痛、排便痛などの疼痛が主な症状となります。発生する場所は卵巣、子宮の筋層、子宮の裏側、腹膜、直腸、肺など様々です。子宮内膜症が発生した場所では月経周期にあわせて病変部分も月経様の変化をくり返します。そのため発生した部位により症状が異なります。子宮の筋層内に子宮内膜が存在すれば月経の痛みがとても強くなります。 子宮の裏側に子宮内膜が存在すると排便痛や性交痛をひきおこすことがあります。内臓をおおっている腹膜に子宮内膜が存在すれば内臓表面で出血し炎症をおこし、臓器どうしがくっついてしまう癒着ができます。癒着するとそれぞれの臓器の動きが悪くなり不妊症、腹痛などの原因となります。癒着は手術でしかはがすことができませんが癒着の程度によっては手術そのものが困難となります。直腸に子宮内膜が発生すれば月経時に下血し、肺に子宮内膜があれば月経時に喀血します。 子宮内膜症の確定診断は腹腔鏡手術による組織検査が必要です。しかし、問診、内診、超音波断層撮影、血液検査、MRI、CTでも臨床的に子宮内膜症の診断をつけることはある程度可能です。 子宮内膜症の治療には薬物療法と手術療法があります。現在のところ薬物療法では子宮内膜症は根治できないことが多く、症状を一時的に緩和し進行を遅らせることが主体となります。手術療法は将来的に妊娠を望むか望まないかによって手術方法が異なってきます。 子宮内膜症は放置しておくと症状が進みます。子宮内膜症が原因の不妊症患者さんの治療には苦慮します。早めに受診して適切な治療を続ければ子宮内膜症が進行するのをある程度防ぐことができます。しかし子宮内膜症と診断を受けた場合は妊娠出産の時期を逃さない様にする注意が必要です。

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# by chikakinu | 2018-04-01 05:00