風疹の予防接種について

 風疹の流行が心配されています。今月は風疹の予防接種についてお話しします。

 老婦人探偵のミス•マープルが活躍するアガサ•クリスティーの「鏡は横にひび割れて」に次のような文章があります。
「しかも、その点がこの事件の真の解答だったわけなの。なぜかというとね、風疹は非常に伝染しやすい病気だからなの。誰でもすぐにうつされてしまうものだわ。それからね、もう一つ憶えておかなきゃいけないことがあるのよ。それはね、女の人がその」〜彼女は次の言葉を口にするのにちょっとヴィクトリア朝時代風な慎み深さを見せた〜「妊娠四ヶ月以内に、この病気にかかった場合には、非常におそろしい悪影響をうけるおそれがあるということなの。」(橋本福夫訳 角川書房)
本書はアガサ•クリスティーが72歳の時の作品とのことですから1962年、昭和37年にイギリスでは医師ではない老婦人もこのように正しい風疹の知識を持っていたのには驚きます。
 妊娠初期の女性が風疹に感染すると。赤ちゃんにも感染して赤ちゃんに影響が出る事があります。主な症状は耳が聞こえにくい、目がみえにくい、心臓に病気がある、発達が遅いなどで、これを先天性症風疹症候群といいます。妊娠中に風疹にかかることがないよう妊娠前に風疹の抗体があるかどうか確かめておきましょう。血液検査で抗体の有無がわかります。かかりつけ医で検査を受け抗体が無い場合は予防接種を受けましょう。風疹の予防接種後2ヶ月は避妊が必要です。また妊娠中は風疹の予防接種を受けることができません。もし妊娠中に妊婦さんに風疹抗体が無い事がわかった場合は妊婦さんを守るために妊婦さんの夫、お子さん、同居のご家族そして里帰り先のご家族も風疹抗体が十分にあると確認された方以外は早急に予防接種を受けてください。

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# by chikakinu | 2018-09-01 00:00  

月経困難症を考える

 殊の外暑い夏です。月経痛がひどい女性は暑さと痛みで大変過ごしにくいことと思います。今月は月経困難症についてお話します。

 月経困難症は月経時に強い下腹部痛、腰痛があり学校生活や就労などの社会生活に支障をきたすものを言います。約80%の女性に月経時に何らかの症状が見られます、その中で社会生活が困難な場合のみを月経困難症と言います。月経困難症には子宮内膜症や子宮筋腫などの病気が原因となっている器質性月経困難症と、何も原因の無い機能性月経困難症があります。多くの場合、特に10 代から20代はじめの分娩経験の無い女性の月経困難症のほとんどは機能性月経困難症です。 治療は鎮痛剤の内服が第一選択です。月経困難症の患者さんに鎮痛剤の内服の有無を尋ねると「なるべく鎮痛剤は内服しないでがまんしている。」と答える患者さんが多く見受けられます。鎮痛剤はなるべく早いうちに適正かつ十分な量を内服することが大切です。それでも痛みのコントロールが難しい時にはピルを内服する方法があります。月経困難症の女性は将来的に子宮内膜症を発症するリスクが高いのでピルの内服を早めに開始することも大事なことです。 月経が12歳に開始し、毎月5日間痛みがあり、51歳に閉経するとして5日×12ヶ月×40年=2400日≑約6.7年人生の7年近くも痛みに耐えなければなりません。月経困難症の対処について正しい知識を持ち豊かな人生を送りましょう。

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# by chikakinu | 2018-08-01 05:00  

卵管通過性検査について

 自然妊娠をするためには卵管の通過性が保たれていることも必要な条件の一つです。そのため不妊症のスクリーニング検査のひとつに卵管通過性検査があります。今月は当院で行っている卵管通過性検査についてお話いたします。

 

 卵と精子が出会い、受精が行われる場所は卵管です。卵管通過性検査は子宮口から細いカテーテルを入れて薬剤を注入して検査をします。卵管通過性検査を行うと卵管の通りが良くなるので検査でもありますが不妊症の治療の一つとも言えます。卵管通過性検査は月経周期のおよそ8日目から12日目までの間に行います。検査は撮影法によって大きく分けて次の2通りの方法があります。

造影法

フェムビュー

ヨード系造影剤

アレルギー

なし

あり

撮影方法

超音波

X

X線被曝

なし

あり

必要検査日数

1

2

評価方法

視診

視診

刺激性(痛み)

無し

やや有り

保険適応

適応外

適応有

 当院ではフェムビューによる超音波下卵管撮影を行っております。フェムビューは日本初の超音波子宮卵管撮影用の医療機器です。フェムビューによる撮影は、アレルギー反応がほとんど無く、また薬剤に刺激性が無いために痛みがありません。何より超音波下で卵管撮影を行う最大の利点は、若い女性の卵巣を全く放射線被爆させることが無く検査を行えることです。そのため超音波下の卵管撮影は妊娠可能年齢の女性の卵管をスクリーニングする際に第一に選択すべき方法でありレントゲン撮影による卵管造影に代わる最も効果的方法であるという指針は納得のいくものであると思います。フェムビューは保険適応外の検査です。

 フェムビュー卵管撮影後の自然妊娠も良くみられるため、保険適応外の検査のためやや高額ではありますがフェムビュー卵管撮影は良い検査法であると思います。被爆も痛みも無いこの優れた検査法により今後も妊娠症例を増やし続けたいと願っています。


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# by chikakinu | 2018-07-01 00:00