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無月経

 18歳 女性 大学1年生

 

 14歳で初経を迎えその後順調に月経が来ていました。しかし1年ほど前から月経が不規則になり始め、高校3年生の7月の月経を最後に無月経となりました。しかし受験のストレスかと思いそのままにしていました。ところが無事大学生に合格し試験のストレスから解放されても月経は戻りませんでした。それでもそのまま様子を見ていましたがだんだんと心配になり昨年10月、当院を受診なさいました

 受診時、超音波検査を行うと子宮が萎縮していました。ホルモン検査をすると血中のエストロゲン値は低く、FSHは高値であり閉経女性に見られる数値でした。ご本人と母親に早発卵巣不全疑いであるとこを説明し大学病院を紹介しました。

 大学病院で精査を行い早発卵巣不全の診断で原因は不明とのことでした。今後はホルモン補充療法を行うことになりました。


ポイント:早発卵巣不全の原因不明がほとんどです。月経不順に気づいたら早めに受診しましょう。


# by chikakinu | 2024-03-01 05:00 | Trackback  

不正性器出血

80歳 女性 


 2週間ほど前に多めの出血を認めました。その後は出血が少なくなりトイレットペーパーに少しつく程度になっていたのでそのまま様子をみていました。しかし23日前からまた出血が増えてきたため心配になり当院を受診なさいました。

 腟鏡で検査をすると子宮頸部に腫瘍病変を認め出血し易くなっていました。超音波では子宮頸部に血流が豊富な病変部を認めました。病変部の擦過細胞診を行い検査に提出しました。子宮頸部細胞診の結果は子宮頸がんを疑う結果でした。そこでさらにコルポスコピー検査をし、生検を行うと子宮頸部腺がんの結果でした。

 ご本人に結果を説明し、さらなる検査と治療のため連携高次医療機関へ紹介しました。


ポイント:こちらの患者さんは2020年まで定期的に子宮頸がん検診を受けていました。ところがそれ以降は新型コロナ感染症の蔓延により検診を控えていました。子宮頸がんには扁平上皮がんと腺がんがあります。腺がんは見つけにくく進行が速いのが特徴です。今回の症例では腺がんだったため少し検診をお休みしている間に進行したようです。


# by chikakinu | 2024-02-01 05:00 | Trackback  

腹部腫瘤

39歳 女性 会社員


 2年前に結婚しました。それまでピル(経口避妊薬)を内服していましたが妊娠を希望のため結婚を機にピルを中止しました。ピル中止後月経は順調でしたが最近お腹が圧迫されているような感じがありました。ピルはネットで購入しており今まで産婦人科を受診したことがありませんでした。お腹が大きく出てきてなかなか妊娠もしないため急に心配になり当院を受診なさいました。

 当院受診時、下腹部に硬い大きな腫瘤が触れ臨月の妊婦さんのような腹部でした。超音波検査後MRIで精査するといくつもの筋腫が増大した多発子宮筋腫でした。ご本人に手術治療が望ましいと説明したところ手術を強く拒否なさいました。しかし妊娠の可能性を少しでも高めるためには筋腫を核出する必要があり、また手術時期が遅くなると可能年齢を過ぎてしまうため早期に手術すべきであると説明しようやく納得していただきました。

 手術のため総合病院へ紹介し6ヶ月後に子宮筋腫核出術の予定となりました。手術までの間、偽閉経療法を行うこととなり現在は月経を停止するための薬を当院より処方し手術に備えているところです。


ポイント:筋腫が増加増大してからでは子宮を温存しても手術による子宮への侵襲が大きくなってしまいます。こちら症例の場合はピルを自己判断でネット通販によって購入するのではなく産婦人科から処方してもらっていれば定期検査でもっと早期に筋腫の増大に気づくことができたと考えます。


# by chikakinu | 2024-01-05 05:00 | Trackback  

外陰腫瘤

21歳 女性 会社員


 1ヶ月ほど前シャワーを浴びている時に外陰部に いぼ のようなものが触れました。ニキビのようなものかなと思いそのままにしていたところ、だんだん いぼ の数が増えて少し大きくなり、範囲も広がっているような気がして心配になり産婦人科を受診することにしました。 

 診察をすると腟と肛門の間、そして外陰周囲にいくつもの小さい突起状の腫瘤を認めました。尖圭コンジローマでした。ご本人に原因と治療法を説明し、外用クリームの塗布で治療を開始しました。

 治療を開始して1ヶ月ほどすると尖圭コンジローマは消失傾向となりましたが、治療中に行った子宮頸がんの細胞診で精密検査が必要な結果を認めたため今後精査の予定です。


ポイント:尖圭コンジローマの原因はヒトパピローマウイルス(HPV)感染です。ヒトパピローマウイルスには性交によって感染します。ヒトパピローマウイルスは子宮頸がんの原因ウイルスでもあります。今回の症例でも子宮頸がんの細胞診が要精密検査となっています。若い女性は性交前にヒトパピローマウイルスの予防接種(子宮頸がんワクチン)を受けることが大切です。


# by chikakinu | 2023-12-01 05:00 | Trackback  

倦怠感

21歳 女性 学生


 今月も月経困難症の治療のため当院を受診しました。定期的に行う血液検査を行なったところ肝臓の酵素が異常上昇していました。本人に結果を話すと数日前から体がだるく発熱もあり今日も解熱剤を内服したとのことでした。飲酒について尋ねるとお酒は全く飲めないとのことでした。サプメントなどの健康食品の摂取の有無について質問すると何も摂取していないとの返事でした。 

 急性肝炎の原因を知るために再度検査をするとEBV(エプスタイン・バーウイルス)に感染していることがわかりました。パートナーについて尋ねると初めて彼氏ができて1ヶ月前から付き合いが始まったとのことでした。EBVは唾液を介して感染するためキスが原因で感染し発症する場合があることをご本人に説明、肝臓の酵素が異常上昇していることから総合病院へ紹介としました。

 先日紹介先の医師から経過についての返事が届きました。入院後肝臓の数値も順調に改善し現在は外来通院とし経過良好とのことでした。


ポイント:EBV小児期に感染すると無症状のまま経過します。しかし思春期以降に初めて感染すると発熱、倦怠感、咽頭痛、リンパ節腫脹、血中肝酵素の上昇など重い症状を認めます。EBVは唾液を介して感染するので思春期以降の初感染はキスが原因で発症すること多く見られます。コロナの感染予防策が続いていたため本来は自然に感染すべきEBVウイルスに感染していない子どもが増えている可能性があります。今後は初感染の遅れからEBVはさらに警戒が必要なウイルスになるかもしれません。EBVにはワクチンも治療薬もないことを覚えておく必要があります。


# by chikakinu | 2023-11-01 05:00 | Trackback