妊娠とインフルエンザ予防

 寒さが増してきました。インフルエンザの予防接種の時期です。今月は妊娠とインフルエンザ予防についてお話します。

 インフルエンザは冬に流行する感染症です。主な症状は38度以上の高熱、関節痛、頭痛、筋肉痛などです。妊婦はインフルエンザ感染が重症化し易く、妊婦の高熱は時に児の心血管系の先天奇形の原因となるという研究報告もあるので、妊婦はインフルエンザに罹患しないようにすることが大切です。インフルエンザに罹患しないために最も効果的なことはインフルエンザワクチンを接種することです。現在使用されているインフルエンザワクチンは不活化ワクチンであるため全妊娠周期を通じて妊婦、胎児双方に理論的に問題は無いと言われています。インフルエンザワクチンには防腐剤としてエチル水銀を含む製剤とエチル水銀を含有していないものがあります。エチル水銀の濃度は極少量であり胎児への影響は無いとされていますが、緊急時(インフルエンザが猛威を振るっていて一刻も早い接種が必要など)以外はエチル水銀の含まれていないインフルエンザワクチンを接種したほうが望ましいと考えます。当院ではエチル水銀の入っていない製剤を使用しています。インフルエンザワクチンの接種後効果がでるまでには2〜3週間かかります。11月中に妊婦さんと妊婦さんの夫、お子さん、お里帰り先のご家族皆さんでインフルエンザワクチンの接種を受けてください。

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# by chikakinu | 2017-11-01 06:00  

妊娠中に注意が必要な食べ物について

 実りの秋。食べ物の美味しい季節になりましたが妊娠中は気をつけないといけない食べ物がいくつかあります。今月は妊娠中に注意が必要な食べ物についてお話しします。

 「妊娠中に食事で気をつけることはありますか?」という質問を受けることがあります。妊婦さんが気をつけなければいけないのは食物を介した感染症です。 まずひとつはトキソプラズマ症です。妊婦さんが感染すると赤ちゃんにも感染し赤ちゃんの脳や眼に影響がでる可能性があります。トキソプラズマ症はトキソプラズマという原虫に感染したネコの糞などが原因であることは良く知られていますが食物からも感染します。生肉や良く火が通っていない肉は生きたトキソプラズマが付着している可能性があります。レアステーキ、生ハム、ローストビーフ、加熱の不十分なジビエ料理、加熱が不十分な肉のパテ、生サラミ、ユッケ、馬刺し、鳥刺しなどの食品に注意が必要です。(厚生労働省HP参照) それからもう一つ妊婦さんが注意すべき感染症はリステリア菌による食中毒です。リステリア菌も妊婦さんが感染すると赤ちゃんへも感染する可能性があります。リステリア菌は塩分にも強く冷蔵庫でも増殖します。加熱殺菌していないチーズ、肉や魚のパテ、生ハム、スモークサーモン、生サラダなどから感染する可能性があります。(厚生労働省HP参照)
 現代は様々な食品が手に入りやすい時代ですが、妊娠中は注意して食事を選ぶ必要があります。また普段調理をするときも生野菜と肉のまな板はそれぞれ別なものを用意して使い分けるようにし、生肉などに触れたトング、取り箸の取り扱いにも注意が必要です。

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# by chikakinu | 2017-10-01 06:00  

安定期について

 妊婦健診時に「もう安定期ですか?旅行に行ってよいですか?」という質問をよくいただきます。今月は安定期についてお話しします。  安定期についてお話しします。と書きましたが、実は妊娠中には安定期などはありません。一般的に妊娠16週頃が安定期と言われているようですが医学的には分娩が無事終了するまで安定期は存在しないのです。なぜなら妊娠中はどの時期にも腹痛、出血、感染などが突然おきるからです。特に晩婚化が進んでいる現代は妊婦さんの年齢も高齢化していますので妊娠高血圧なども発症しやすくなり、より母体と赤ちゃんの危険度が高くなります。妊娠中はどの時期も大事に過ごさなければなりません。妊娠に安定期はありません。妊娠中の旅行、遠出は避けましょう。一時帰省、出張もおすすめはできません。分娩まで丁寧な毎日を過ごしましょう。
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# by chikakinu | 2017-09-01 06:00  

女性の一生の月経回数

 今年発表された日本人女性が生涯に産む推計人数は1.44です。前年よりも低下しています。今月は女性の妊娠回数の減少により増えてきている病気についてお話します。

 子宮内膜症は子宮内膜が本来存在している子宮の内側だけではなく違う場所にも発生してしまう病気です。子宮内膜症の症状は月経痛、下腹部痛、腰痛、性交痛、排便痛など疼痛が主な症状です。発生する場所は卵巣、子宮の筋層、子宮の裏側、腹膜、肺などです。子宮内膜症が発生した場所では月経周期にあわせて病変部分も月経様の変化をくり返します。子宮内膜症は月経がある間は増悪し、閉経になれば治癒する病気です。妊娠している間そして授乳している間は月経が停止しするため、閉経だけではなく、妊娠することも子宮内膜症を改善させます。昔の女性は一生の間に5〜6人ぐらい出産することがほとんどでした。そのため昔の女性の一生の月経回数は50〜80回でした。ところが現在の女性の出産回数は1〜2回なので一生の月経回数も420〜500回です。現代女性の月経回数は昔の女性の8〜10倍となっているのです。そのため、重症子宮内膜症が増えていることを毎日の診療を通して強く感じます。
 最近は閉経になることつまり女性ホルモンが低下することの負の面ばかり取り上げられているように思いますが月経すなわち女性ホルモンが増悪させる病気があることも知るべきです。そして初経を迎えたように無事閉経を迎えることのありがたさにも目を向けるべきでしょう。

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# by chikakinu | 2017-08-01 06:00