安定期について

 妊婦健診時に「もう安定期ですか?旅行に行ってよいですか?」という質問をよくいただきます。今月は安定期についてお話しします。  安定期についてお話しします。と書きましたが、実は妊娠中には安定期などはありません。一般的に妊娠16週頃が安定期と言われているようですが医学的には分娩が無事終了するまで安定期は存在しないのです。なぜなら妊娠中はどの時期にも腹痛、出血、感染などが突然おきるからです。特に晩婚化が進んでいる現代は妊婦さんの年齢も高齢化していますので妊娠高血圧なども発症しやすくなり、より母体と赤ちゃんの危険度が高くなります。妊娠中はどの時期も大事に過ごさなければなりません。妊娠に安定期はありません。妊娠中の旅行、遠出は避けましょう。一時帰省、出張もおすすめはできません。分娩まで丁寧な毎日を過ごしましょう。
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# by chikakinu | 2017-09-01 06:00  

女性の一生の月経回数

 今年発表された日本人女性が生涯に産む推計人数は1.44です。前年よりも低下しています。今月は女性の妊娠回数の減少により増えてきている病気についてお話します。

 子宮内膜症は子宮内膜が本来存在している子宮の内側だけではなく違う場所にも発生してしまう病気です。子宮内膜症の症状は月経痛、下腹部痛、腰痛、性交痛、排便痛など疼痛が主な症状です。発生する場所は卵巣、子宮の筋層、子宮の裏側、腹膜、肺などです。子宮内膜症が発生した場所では月経周期にあわせて病変部分も月経様の変化をくり返します。子宮内膜症は月経がある間は増悪し、閉経になれば治癒する病気です。妊娠している間そして授乳している間は月経が停止しするため、閉経だけではなく、妊娠することも子宮内膜症を改善させます。昔の女性は一生の間に5〜6人ぐらい出産することがほとんどでした。そのため昔の女性の一生の月経回数は50〜80回でした。ところが現在の女性の出産回数は1〜2回なので一生の月経回数も420〜500回です。現代女性の月経回数は昔の女性の8〜10倍となっているのです。そのため、重症子宮内膜症が増えていることを毎日の診療を通して強く感じます。
 最近は閉経になることつまり女性ホルモンが低下することの負の面ばかり取り上げられているように思いますが月経すなわち女性ホルモンが増悪させる病気があることも知るべきです。そして初経を迎えたように無事閉経を迎えることのありがたさにも目を向けるべきでしょう。

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# by chikakinu | 2017-08-01 06:00  

インターネット情報について考えること

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

 昨年は英国のEU離脱、米大統領選挙など大きな変化が世界中でありました。その結果に対して「予想に反して」とか「大逆転」などと騒ぎになりましたが、それは少数と言われていた意見をしっかり聞かなかったからにすぎず少数派の意見にも注意深く耳を傾けていれば予想できたことだったのかも知れません。会議でも学校でも大きな声で強く発言する人の意見が、たとえ正しくなくても目立つために決定事項となってしまうことがあります。同じようにインターネットでも語彙検索で上位になる記事が、本当は誤っているのに正しい意見として一人歩きをしてしまうことがあります。そのため正確では無い医療情報を信じて私たち専門医の意見を受け入れることができず治療が遅れてしまう患者さんもいます。新聞や本には自分の考えとはちがう意見の記事や文章も載っているため自然と目に入り頭の中の情報が偏らないように修正することができます。しかしインターネットは便利ですが自分の好む意見や記事だけを追いかけてしまい自分の嫌いな意見を排除してしまう傾向が強くなるので気をつけなければなりません。
 こちらのコラムでは皆様が健康な生活を安心して送ることができますよう正確な医療情報をお届けしたいと考えています。
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# by chikakinu | 2017-01-01 06:00  

丁寧な子育て

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

 新しい年に願うことはたくさんありますがその一つは世の中の全ての子どもが幸せでありますようにということです。
 児童精神医学の先生の文章に次のようなことが書いてありました。「子どもが日々実感できる良い母親の姿は子どもの食事やおやつを準備し、お風呂に入れ、衣類を揃え、夜になると寝かせて・・。という子どもが生きてくための基本的な活動を濃密に援助する姿、笑いかけ、話しかけ、子どももの様子を見守る姿。ですから、母親がどれほどそれらに喜びや生きがいをもって打ち込めるかが大切です。中略。初めて交わる人である母親との関係のあり方がその子どもの人生を大きく左右するのです。私が子どもに望むのは人を好きになることの幸福を知り、人間関係のなかでいきいきと輝いて生きていくことです。」
 20年近く前私が麻酔科の勉強をしていたころ、ある老婦人の麻酔を担当することになりました。物静かながらもしっかりしたその老婦人には立派な息子さんが三人いらっしゃいました。私はその方に麻酔の説明をしたあとで少し世間話をした時にどのように子育てなさったのかを尋ねました。するとその老婦人は「丁寧に育てれば大丈夫ですよ。丁寧にね。」と静かにおっしゃったのです。そのときはピンときませんでしたが、「丁寧に。」というのは何も特別な食事を用意したり高価なおもちゃを与えることではなく前記の児童精神医学の先生がおっしゃったような基本的な子どもの世話を大きな喜びを持って行うことを言うのだと今は理解できます。
 大人が子どもに丁寧に接することができる世の中であるように願います。
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# by chikakinu | 2016-01-01 06:00